25 美術館の茶室で
抹茶を飲んでみよう!
五島美術館では、展覧会を年間6~7回開催し、春と秋に開催する名品展では、各分野の代表作品を紹介しています。今回のプログラムでは美術館の庭園にある茶室で茶道を体験。また、開催中の展覧会で館蔵の茶道具コレクションなどを見学しました。日本の「伝統」や「美」について学ぶ、よい機会になったようです。
- 日時
- 2016年12月18日(日)14:00~16:00
- 会場
- 五島美術館
- 最寄駅
- 大井町線上野毛駅
- 主な内容
- 茶道体験
- 募集人数
- 10組20名(小学校4~6年生のみ対象)
お茶や茶の湯について学習しよう
五島美術館の講堂に集まった参加者たちは、最初にお茶や茶道(茶の湯)についての基礎を教えてもらいました。緑茶や紅茶、抹茶、ウーロン茶の原料はすべて同じお茶であり、加工方法の違いによって別の種類のお茶ができあがることなどを、美術館の学芸員がスライドを使ってわかりやすく解説。平安時代に中国から日本に伝わったお茶が、茶の湯として親しまれるようになったのは室町時代から。茶の湯では、お茶を楽しむだけでなく、着物や茶室の飾りつけ、茶道具などを鑑賞することも大切なのだそうです。参加者たちは、歴史ある茶の湯の文化について、しっかりと理解を深めることができたようです。
歴史ある茶室で本格的な茶道を体験
続いては、美術館の庭園内にある茶室「古経楼(こきょうろう)」に移動して、茶道を体験します。まずは茶室の入口で室内への入り方の作法を教わりました。履き物を脱いで体をかがめ、頭を下げて正座の姿勢で体をにじるようにして小さな入口から茶室の中に入ります。そして、床(とこ)に飾られた掛け軸や花入を鑑賞して一礼。
茶室内では「雪餅」という季節のお菓子と、和装の学芸員による本格的なお点前の抹茶がふるまわれました。伝統的な礼儀作法、茶道の先生や学芸員たちの美しい所作を真剣な表情で見つめる参加者たち。ゆっくりとお茶を楽しむうちに、最初の緊張が少しずつほぐれてきました。
自分たちでお茶をたてて、親子で楽しむ
次は美術館の別館ロビーに移動して、参加者たち自身でお茶をたてる体験です。子どもは親へ、親は子どもへとお茶をふるまいます。茶杓(ちゃしゃく)という細長い茶さじで抹茶をすくってお茶碗の中へ。そこにお湯を注いでもらい、茶せんで素早くかき混ぜて泡立てます。最初はぎこちない手つきだった子どもたちも、先生から道具の使い方を教えてもらうと、みんな上手にお茶をたてることができました。
親子でお茶をいただき、すっかりリラックスした表情の参加者たち。最後に、美術館で開催中の展覧会を見学して本日のプログラムは終了です。明治時代に建てられた歴史ある茶室での本格的な茶道体験。日本の伝統や美にふれる静かな時間が流れていました。
参加してくれた
子どもたちの声
参加してくれた
ご家族の声
担当者の声
この体験を通じて、美術品や日本の伝統的な礼儀作法に興味を持っていただきたいと考え開催しました。最近は家に畳の部屋がなく、正座に慣れないお子さまも多いと聞きます。実際に本物の茶室の畳の上に座ってお茶をいただくことで、和の心を再認識していただければ嬉しいです。今日一日、茶道の雰囲気だけでも肌で感じてもらい、日本の伝統文化について正しく理解するきっかけになればと思います。
(五島美術館 学芸員 福島)