27 美術館の茶室で
抹茶を飲んでみよう!
「五島美術館」では、展覧会を年間6~7回開催し、春と秋の名品展では、さまざまな代表作品を紹介しています。今回のプログラムでは美術館の庭園にある茶室で茶道を体験。また、展示室で館蔵の茶道具コレクションを見学しました。日本の「伝統」や「美」について学ぶ、よい機会になったようです。
- 日時
- 2018年12月16日(日)14:00~16:00
- 会場
- 五島美術館
- 最寄駅
- 大井町線上野毛駅
- 主な内容
- 茶道体験
- 募集人数
- 10組20名(小学校4~6年生のみ対象)
お茶や茶の湯、茶道具について学ぼう
五島美術館の講堂に集まった参加者たち。最初に美術館の学芸員が、スライドを使ってお茶や茶道(茶の湯)について詳しく説明してくれました。茶道で使われる抹茶は、緑茶や紅茶、ウーロン茶などと同じお茶の葉からつくられ、濃茶と薄茶の2種類があるのだそうです。奈良時代に日本に伝わったお茶が、今のような茶道としての楽しみ方になったのは約500年前の室町時代から。茶道具には釜や茶碗のほかにもたくさんの種類があり、茶道具の鑑賞のほか、茶室の香りや飾り付けなどを楽しむことも日本文化の味わい方の一つだと教えてもらいました。
歴史ある茶室でお茶とお菓子を楽しむ
茶道について学んだら、国の登録有形文化財にも指定されている歴史ある茶室「古経楼(こきょうろう)」で茶道を体験します。茶道の先生に作法を教えてもらい、参加者たちは茶室の中へ。「にじり口」と呼ばれる小さな入口の前で履き物を脱ぎ、体をにじるようにして入りました。
茶室内では飾られた掛け軸や花を見て一礼。「玉椿」という名前が付けられた和菓子とともに、学芸員の本格的なお点前によるお茶をいただきました。親子でお茶を楽しむうちに、緊張が少しずつほぐれてきたようです。茶道の伝統的な礼儀作法や所作にふれ、子どもたちは自然と正しい姿勢になりました。
自分たちでお茶をたてよう。上手にできたかな?
続いては、美術館の別館ロビーに移動して、自分たちでお茶をたてる体験です。茶杓(ちゃしゃく)を使って抹茶をお茶碗に入れ、お湯を注いで素早く茶せんでかき混ぜます。慣れない手つきの子どもたちも、茶道の先生や学芸員に道具の使い方についてアドバイスをもらい、みんな上手にお茶をたてることができました。子どもは親へ、親は子どもへとお茶を振る舞い、お互いの味を楽しく話す参加者たち。会場には親子一緒の静かな時間が流れていました。
子どもたちは最後に「未来の茶道家」認定証をもらい、美術館で開催中の展覧会を見学して本日のプログラムは終了です。日本の伝統文化にふれる貴重な体験となりました。
参加してくれた
子どもたちの声
参加してくれた
ご家族の声
担当者の声
昨今は、畳がない住宅が増え、和室での立ち居振る舞いに慣れていないお子さまも多いと聞きます。今日は、実際に茶室に入り、お茶の香りや味、茶碗の手ざわりなどを感じてみることで、日本文化についての理解を深めるきっかけになったのではないでしょうか。茶の湯の道具が長い間受け継がれ、大切にされてきたのには理由があります。そういった伝統文化の魅力を味わえる人に成長してくれたらうれしいですね。
(五島美術館 学芸員 福島)